日本中の多くの学生に進学費用を貸し出ししてくれている、日本学生支援機構は、国、つまり政府が管理する団体のひとつです。管轄は、文部科学省。
国の機関と言われれば、「ああ、なるほど。そうなの」と、何となく納得したような気にもなりますが、その実態はどうなっているのでしょうか?
日本学生支援機構に関する豆知識
日本学生支援機構についての基本情報をまとめてみました。
今はそんな情報読んでる暇はないっていう方は、
読み飛ばしてください。結構長いです ^_^;
<正式名称> 独立行政法人 日本学生支援機構
<略称> JASSO
(Japan Student Services Organization)
<設立> 2004年4月
<本部> 神奈川県横浜市緑区
(東京工業大学キャンパス内)
<主な事業内容>
1) 国内の学生に奨学金を貸す
2) 海外に留学する学生に奨学金を貸す
3) 海外からの留学生に奨学金を貸す
<どれくらいの金額を貸しているのか>
2016年のデータによると、日本学生支援機構の事業予算は 1兆1,355億円。そのうちの98%に相当する、1兆1,128億円を学生に貸しています。
<そのお金はどこからきているのか>
私の一番の疑問は、ここ。そのお金はどこから調達しているの?全部、税金?って、思いませんか?
日本学生支援機構の奨学金事業のうち、国内の学生に貸している奨学金の総額は、1兆944億円。その内訳のデータがあります。
1)一般会計借入金等 908億円
2)財政融資資金 7,944億円
3)財政融資金等償還 10,307億円
4)民間借り入れ金 3,670億円
5)返還金 7,529億円
6)財投機関債 1,200億円
1、2、3は、国から出ているお金だろうなということがわかります。4は、民間の金融機関(銀行など)から借りているという意味でしょうか。5は、今現在奨学金を借りている人が返しているお金ですね。
そして、注目すべきポイントは6番目! 日本学生支援機構独自の債権を発行しているのですね。知らなかった~! もはや、市場から広く資金を募らなければ成り立たなくなってしまっているのでしょう。
<何人ぐらいの人が利用しているの?>
奨学金を利用している人の人数は、2016年度は132万人。そのうちおよそ49万人が第一種奨学金(利子がつかない奨学金)で、およそ83万人が第二種奨学金(1~2%程度の利子がつく奨学金)となっています。
ちなみに、日本国内の学生の人数はおよそ280万人くらいです。日本の学生の約半数近くが、日本学生支援機構の奨学金を利用していることになります。他の機関から奨学金を借りている学生もいるので、学生の半数以上が奨学金を利用しなければ進学できない状況にあるということがいえます。
<詳細はこちらを読んでみて!>
日本学生支援機構の事業内容についてはこちらの資料に詳しく書かれていますので、興味のある方はどうぞ。今回のブログで紹介した数値は、こちらの資料を参照しています。
日本学生支援機構の前身は、「日本育英会」
そもそも、日本学生支援機構ってどうやってできたのでしょう? 設立が2004年っていうことは、かなり最近ですよね。
なぜそんなに最近なのかというと、2004年に奨学金事業を行う複数の機関が合併して日本学生支援機構ができたからです。その中心となったのが、日本育英会。
この名前は聞いたことがあるという方が多いのではないでしょうか。
日本育英会の発足は、1943年。第二次世界大戦(1939~1945年)の最中ですね。人材育成のために、経済的に困っている優秀な学生を国費で援助する制度ができました。当初は、大学、大学院に通う理系の学生が対象で、利用人数もとても限られていたようです。
その後規模が拡大され、教職員は返済が免除される制度(現在は廃止されている)などもできました。利子をつけて返済しなければならない第二種奨学金制度が実施されたことで、実質、ほとんどの希望者が利用できるようになりました。
日本学生支援機構を構成する団体
日本学生支援機構は、主に次の5つの団体の活動をひとつにまとめたものです。
1)日本育英会(文部科学省)
⇒ 国内の学生を支援
2)財団法人日本国際教育協会(文部科学省)
⇒ 海外への留学生を支援
3)財団法人内外学生センター(文部科学省)
⇒ 外国からの留学生を支援
4)財団法人国際学友会(外務省)
5)財団法人関西国際学友会(外務省)
⇒ アジアからの留学生を支援
日本学生支援機構には、給付型の奨学金はないの?
最後に、もうひとつ疑問が残っていました。
奨学金には、給付型と貸与型の2種類があるという話を、奨学金の基本情報のところで書きましたが、日本学生支援機構には、給付型の奨学金はないのでしょうか?
答え「ありません」。
…でした!
2016年の時点で、日本学生支援機構の奨学金事業で取り扱っていたのは貸与型の奨学金だけでした。給付型の奨学金を支給しているのは、地方自治体や教育機関、民間団体だったのです。
しかし、日本学生支援機構でも、ついに給付型奨学金の運用を検討。
そして、2016/12/20に奨学金の給付が決定!!
2018年、日本学生支援機構による給付型奨学金がスタートすることが決まりました!
およそ2万人に2~4万円の給付型奨学金が支給されます。
リンク ⇒ 「2018年、政府が支給型奨学金制度をスタート!」の記事へ
まとめ
日本学生支援機構が、とても規模の大きな支援事業を行っている、国の機関であるということがわかりました。
日本学生支援機構の前身である日本育英会の奨学金事業が始まったのは第二次世界大戦中ですが、学生への支援事業はもっとずっと前、明治時代から行われていました。それを担っていたのは、教育機関や地方自治体などでした。
教育機関や地方自治体の奨学金事業は現在でも行われており、多くの学生が利用しています。こちらについても調査してみたいと思います。
0コメント